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発車メロディ

Station Departure Melodies

日本各地のホームでは、列車のドアが閉まる直前を知らせるのは、耳障りなベルではなく、短く、しばしば明るい旋律である。これが発車メロディ(はっしゃメロディ)であり、多くは7秒ほどに収まるよう作られた短い音楽の合図で、列車がまもなく発車することを告げる。その実用上の役割は二つある。乗客を急がせることなく時間どおりの乗降を促すこと、そしてかつて駅を満たしていた耳障りな電鈴やブザーを、乗客にとってより心地よいものへ置き換え、騒音を抑えることである。

歴史

発車する列車を音楽で送り出すという発想は、現代のシステムより数十年さかのぼる。その起源はしばしば1951年に求められる。この年、九州・豊肥本線の豊後竹田駅で、列車の発車時に「荒城の月」をレコードで流していたという記録が残っている。作曲者の瀧廉太郎は竹田の出身であり、これはのちに全国の駅へ広まる「ご当地」発車メロディの初期の形でもある。

1970年代にはすでに一部の大手私鉄で発車メロディが使われており、京阪電気鉄道は1971年8月、社長・村岡四郎の発案で発車音楽を導入した。木村陸朗が作曲したその旋律はテンポよく音階を上がっていくもので、長年にわたり使われ続けた。もっとも、その後の20年近くのあいだ、典型的な日本のホームは依然として金属的なベルやブザーで発車を知らせていた。

転機は1980年代の終わりに訪れた。民営化の後、JR東日本はより穏やかな合図を試み始める。まず1988年11月22日に仙台駅で発車メロディを導入し、1989年3月11日には、ピアノや鈴、ハープといった柔らかな音色で構成され、ヤマハと協力して制作された新しい旋律を、新宿駅と渋谷駅に採用した。両駅の乗客数は当時、合わせて1日150万人を超えていた。駅の騒がしさに対する世論の批判も、この変化を後押しした。好意的に受け止められた新宿・渋谷の旋律は、この慣習が全国へ広がり始めた契機として広く見なされている。

そこから、7秒の旋律をめぐる小さな産業が育っていった。数百にのぼるメロディを、制作会社が作曲・編曲し、供給している。ヤマハは先駆けとなった新宿・渋谷の曲を開発し、日本電音(ユニペックス)は広く聞かれる定番曲を制作した。東洋メディアリンクスの曲には、JR東日本の発車メロディの中でも最も多く使われる曲の一つ「Water Crown」がある。テイチクとその後継の櫻井音楽工房は首都圏を中心に多くの駅へメロディを供給し、2000年代後半以降はスイッチ社が数多くの新しい旋律を世に送り出している。作曲家もこの分野で知られるようになった。なかでも向谷実は、京阪や九州新幹線の各駅などのために旋律を書いている。

また、駅の旋律がその土地にちなんでいることも多い。東京の高田馬場駅は、近くに手塚プロダクションのオフィスがあることにちなんで、2003年3月1日から「鉄腕アトム」の主題歌を流している。恵比寿駅は、その旋律を広告に用いてきたサッポロのヱビスビールとの長年の結びつきを反映して、2005年6月6日から「第三の男」を使っている。東京ディズニーリゾートの玄関口である舞浜駅はディズニーの曲を流す。八王子駅は童謡「夕焼小焼」を、蒲田駅は「蒲田行進曲」を用い、茅ケ崎駅はこの地域にゆかりのあるサザンオールスターズの「希望の轍」を採用した。淵野辺駅は2026年3月13日まで「銀河鉄道999」の主題歌を流していた。この慣習はJRの枠を大きく超えて広がり、私鉄や地方の鉄道もそれぞれ独自の旋律を生み出していった。

しかし近年、最も多くの発車メロディを使う鉄道網ではこの流れが逆転し始めている。2025年、JR東日本は、放送機器の更新を主な機会として、また車掌が乗務せず駅ごとの旋律を鳴らせなくなるワンマン運転への移行が進むのに伴い、特色ある多くのご当地発車メロディを廃止していく方針を発表した。南武線をはじめとする路線では、2025年3月15日に、親しまれたご当地の旋律が統一メロディに置き換えられた。もっとも、発車メロディはもともとどこでも使われていたわけではない。JR東海は駆け込み乗車の防止を理由に、原則として発車メロディを使わない方針を長く保ち、東京駅にかぎって認めてきた。

年表

  • 1951豊後竹田駅が「荒城の月」をレコードで流す。ご当地発車メロディの先駆け。
  • 1971京阪電気鉄道が発車音楽を導入(8月)。社長・村岡四郎の発案、木村陸朗が作曲。
  • 1988JR東日本が仙台駅で発車メロディを初導入(11月22日)。
  • 1989ヤマハと協力した新メロディが新宿駅・渋谷駅に登場(3月11日)。全国普及の契機とされる。
  • 1997蒲田駅が「蒲田行進曲」を採用。
  • 2003高田馬場駅が「鉄腕アトム」主題歌を導入(3月1日)。手塚プロダクションにちなむ。
  • 2005恵比寿駅が「第三の男」を導入(6月6日)。ヱビスビールにちなむ。
  • 2005八王子駅が童謡「夕焼小焼」を採用(12月25日)。
  • 2014淵野辺駅が「銀河鉄道999」主題歌を採用(6月14日)。
  • 2014茅ケ崎駅が、地元ゆかりのサザンオールスターズ「希望の轍」を採用(10月1日)。
  • 2025JR東日本が、機器更新やワンマン運転の拡大に伴い多くのご当地発車メロディを廃止すると発表。南武線のメロディが統一される。

出典

最終更新:2026年10月16日