歴史
日本海縦貫線は区間内が直流・交流(60 Hz)・交流(50 Hz)の異なる方式で電化されており、国鉄分割民営化直後から後継機の開発が始まり、同区間用として1990年(平成2年)にEF500形が試作されたが、定格出力6,000 kWの同形式は輸送量に比べ過大な出力や技術上の問題などで量産に至らなかった。直流電化区間用として同時期に製作され、運用コストを適正化したEF210形の設計を基にして交直両用機の開発が進められ、2001年12月12日に川崎重工業兵庫工場(現・川崎車両、電機品は三菱電機)で量産先行車の1号機が落成した。JR貨物としての入籍は2002年(平成14年)2月15日である。
電気方式は直流1,500 Vと交流20 kV(50/60 Hz)で、架線からパンタグラフで集電する。主回路装置はEH500形から採用された三菱電機製のVVVFインバータシステム(制御素子はIGBT)で、1台のインバータで1台の主電動機を個別に制御する1C1M方式である。主電動機はEF210形と同一のかご形三相誘導電動機FMT4形(1時間定格出力565 kW)を6基装備し、台車はEF210形と同様の軸梁式ボルスタレス台車FD7N形(両端)・FD8A形(中間)である。寒冷な気候と塩害への対策として、屋根上にはパンタグラフと保護接地スイッチのみを設置し、従来機が屋根上に設けていた断路器や遮断器などの特別高圧機器は室内に配置した。出力は3,390 kW、引張力は199 kN、最高運転速度は110 km/hである。
1号機は2002年2月に納入されて新鶴見機関区に配置され、同年中に富山機関区へ移った。JR貨物が設計・製造する機関車は先行試作車に900番台を付番しているが、本形式は量産先行車が1号機となっており、唯一900番台が存在しない形式である。基本性能の確認試験と営業運転確認を踏まえて2003年(平成15年)から量産を開始し、老朽化の進むEF81形を徐々に淘汰した。量産初号機の2号機は2003年11月に納入され、2号機以降の車体側面には「RED THUNDER」のロゴマークが描かれた。1号機は量産機の2号機・3号機とともに2004年3月13日から日本海縦貫線で運用を開始した。0番台には公募により、同時期に登場したEH200形の「ECO-POWER ブルーサンダー」と対をなす形で「ECO-POWER レッドサンダー」の愛称が付けられた。
500番台は、JR東日本の寝台特急「北斗星」「カシオペア」を牽引していたEF81形の置き換えのために2009年から15両が製造された。国鉄分割民営化後にJRの旅客会社が発注した初の機関車で、1両あたりの価格は約4億円であった。1両目の501号機は2009年12月18日に兵庫県の川崎重工業の工場を出場し、翌19日に東京の田端運転所に到着した。501 - 508・511 - 515号機は青い車体に流星をあしらい金色の帯を巻いた「北斗星」色、2010年に製作された509・510号機はE26系客車に準じたシルバーメタリックの車体に五本の色帯を入れた「カシオペア」色で落成した。500番台は2010年6月25日から上野発札幌行き「カシオペア」で運用を開始し、同年7月14日からは「北斗星」での運用を開始、同年12月1日からは常磐線の貨物列車牽引を開始した。
2013年3月16日ダイヤ改正で田端運転所の貨物輸送受託が終了し、常磐線を中心とした貨物列車の運用はEH500形に変更された。これにより余剰となった501 - 508・511号機をJR貨物が2013年7月にJR東日本から購入し、さらに2015年度から2016年度にかけて509・510・512 - 515号機を購入して(512・513・515号機は2015年12月に移籍)、JR東日本所属の15両はすべてJR貨物へ売却された。最後に残った509・510号機は2016年3月21日まで「カシオペア」を牽引し、同月31日に田端運転所を離れ、これによりJR東日本における本形式の運用は終了した。
九州地区の老朽車両取替えのため、九州仕様の300番台17両(301 - 317号機)が新たに登場し、2021年に完成した先行機の301号機が2023年2月25日から日豊本線で運用を開始した。300番台は従来の発電ブレーキに加えて、交流き電区間でのみ使用できる交流回生ブレーキを備える設計とされた。九州島内の交流電化区間で専ら運用され、交流回生ブレーキを常用することから、2023年度から製造された量産機ではブレーキ抵抗器を省略しており、301号機も2024年度にブレーキ抵抗器を撤去した。また、九州島内の交流き電設備に合わせるため、架線からの入力電流をEF81形並みに制限できる入力電流制限機能を持つ。JR貨物では0番台・500番台が富山機関区に、300番台が門司機関区に配置され、2025年現在で55両(1 - 23・501 - 515・301 - 317号機)が在籍する。形式名のEは電気機関車であること、Fは動軸数が6であること、510は交流電動機を用いる交直流機関車であることを示す。
年表
この年表は英語のみです。
- 2002The first locomotive, EF510-1 (a pre-production locomotive), is delivered in February and initially based at Shin-Tsurumi Depot before transfer to Toyama Depot the same year; JR Freight registration is 15 February 2002.
- 2004Full-scale revenue service begins: EF510-1 together with production locomotives EF510-2 and EF510-3 enter service on the Sea of Japan trunk route (Nihonkai Jukan Line) from 13 March, progressively replacing the ageing Class EF81.
- 2010The EF510-500 subclass enters JR East service: EF510-501 begins haulage on 25 June, replacing EF81 locomotives on the Cassiopeia and Hokutosei overnight sleeping-car trains; two units (EF510-509 and EF510-510) wear a dedicated Cassiopeia silver livery.
- 2013From the March timetable revision, JR East EF510-500 Joban Line freight duties pass to JR Freight Class EH500 locomotives; surplus locomotives EF510-501 to 508 and 511 are sold to JR Freight in July.
- 2016All fifteen JR East EF510-500 locomotives have been sold to JR Freight (the last, EF510-509 and 510, leave Tabata on 31 March), ending JR East operation of the type.
- 2023The Kyushu-area EF510-300 subclass (intended to total 17 locomotives) enters service on 25 February, with pre-production EF510-301 working Nippo Main Line freight, replacing ageing Class ED76 and Class EF81 locomotives.
出典
最終更新:2026年10月16日
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