歴史
路線名は、路線が登る峠の名に由来する。「十国」とは「十の国」の意で、山頂から日本の旧国のうち伊豆・相模・駿河・遠江・甲斐・安房・上総・下総・武蔵・信濃の十か国に加えて伊豆諸島のいくつかをも望めるといわれることから、この名がついた。山頂駅は函南町と熱海市の境にあり、気象条件によっては山頂の展望台の望遠鏡から東京タワーや東京スカイツリーまで見えることもある。
路線は1956年10月16日、駿豆鉄道株式会社によって建設・開業した。建設にあたっては第二次世界大戦中に不要不急路線として廃止された兵庫県の妙見鋼索鉄道の設備が転用され、主要機材には1925年製のものが用いられた。転用元が当時日本国内で唯一の標準軌のケーブルカーであったことから、新しい十国鋼索線もまた標準軌で敷設された。1・2の番号を付された2両の車両は1955年に日立製作所で製造され、開業時から使用されており、1号車(青)には「日金」、2号車(赤)には「十国」の愛称が付けられている。
開業から1年足らずの1957年6月1日、駿豆鉄道は伊豆箱根鉄道株式会社に社名を変更し、以後この鋼索線は西武グループに属する同社の路線として長年にわたり営業を続けた。2両の車両は以前は西武ライオンズの球団カラーであるライオンズカラーを纏っていたが、2018年7月に開業当時のデザインをモチーフとし、車体中央部に富士山をあしらった新塗装へと改められた。
2020年代初頭には運営者が交代した。2021年12月、伊豆箱根鉄道はケーブルカーと併設の休憩施設の運営部門を会社分割によって切り離し、新たに十国峠株式会社を設立して同社が路線の運営を引き継いだ。2022年2月1日には同社の全株式が富士急行へ売却され、路線は富士急グループの一員となった。新運営者は施設の改修を進め、2022年8月11日には山頂駅舎の一部と展望台が展望施設「PANORAMA TERRACE 1059」と「TENGOKU CAFE」としてリニューアルオープンした。2022年11月5日にはケーブルカーの愛称が「十国峠パノラマケーブルカー」に変更され、麓の十国登り口駅は十国峠山麓駅に、山頂の十国峠駅は十国峠山頂駅に改称された。同日、麓の休憩所も「森の駅 箱根十国峠」として生まれ変わった。
日本のケーブルカーの多くは、伊豆箱根鉄道がかつて運営した駒ヶ岳鋼索線(2005年廃止)を含めて1,067ミリメートルの狭軌を採用しており、静岡県内で標準軌を用いる鉄道路線は東海道新幹線と本路線のみである。1956年に設備が十国へ転用された妙見鋼索鉄道の後身、能勢電鉄の妙見の森ケーブルが2023年12月4日に廃止されたことで、十国鋼索線は日本国内で唯一の標準軌のケーブルカーとなった。開業から約70年を経て部品の確保も次第に困難となるなか、運営者は代替となるスロープカーを2027年夏に開業する計画を発表している。
この路線の駅
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年表
- 195610月16日:駿豆鉄道株式会社により十国鋼索線が開業。戦時中に不要不急路線として廃止された兵庫県の妙見鋼索鉄道の設備(主要機材は1925年製)を転用したため、標準軌で敷設された。
- 19576月1日:駿豆鉄道が伊豆箱根鉄道株式会社に社名変更。
- 20187月:それまでライオンズカラーを纏っていた2両の車両が、開業当時のデザインをモチーフに車体中央部に富士山をあしらった新塗装に改められる。
- 202112月1日:伊豆箱根鉄道がケーブルカー・休憩施設の運営部門を会社分割し、十国峠株式会社を新設。同社による運営となる。
- 20222月1日:十国峠株式会社の全株式が富士急行に売却され、富士急グループに移る。
- 20228月11日:十国峠駅駅舎の一部と展望台が「PANORAMA TERRACE 1059」「TENGOKU CAFE」としてリニューアルオープン。
- 202211月5日:ケーブルカーの愛称を「十国峠パノラマケーブルカー」に変更し、十国登り口駅を十国峠山麓駅、十国峠駅を十国峠山頂駅に改称。麓の休憩所も「森の駅 箱根十国峠」としてリニューアルオープン。
- 202312月4日:能勢電鉄妙見の森ケーブル(1956年に設備が十国へ転用された路線の後身)が廃止され、十国鋼索線が日本で唯一の標準軌のケーブルカーとなる。
- 2027夏(予定):開業から約70年が経過し部品確保が困難となるなか、代替となるスロープカーの開業が計画されている。