歴史
この路線は、はるかに大きな計画の一部である。1922年の改正鉄道敷設法別表第107号により、国は「四国循環鉄道構想」のもとで「高知県後免ヨリ安芸、徳島県日和佐ヲ経テ古庄附近ニ至ル鉄道」を予定線として掲げた。このうち徳島側の牟岐・日和佐・古庄付近の区間は1936年から1942年にかけて開業し、現在はJR四国の牟岐線の一部となっている。残る牟岐から後免までを約113キロメートルで結ぶべく計画された区間が、日本国有鉄道(国鉄)の工事線である阿佐線となった。
阿佐線は、鉄道計画の各段階を緩やかに進んでいった。1922年に予定線、1957年に調査線、1959年に建設(工事)線となり、1964年には日本鉄道建設公団の工事線に位置づけられた。建設は既設線と接続する両端から始まった。徳島側では牟岐から工事が始まり、1973年10月1日に牟岐 - 海部間(11.6キロメートル)が国鉄牟岐線の一部として開業した。高知側の区間、すなわち阿佐西線では、1965年にこの循環鉄道構想のもとで安芸 - 田野間が着工され、1974年4月からは後免 - 安芸間でも高架橋などの工事が行われた。
後免町 - 安芸間ではかつて、1930年に全通した土佐電気鉄道の安芸線が営業していた。同線は1970年代に入ると貨物輸送の廃止や旅客収入の減少によって赤字が膨らみ、1974年3月末に廃止された。この廃止は、江若鉄道の例にならい、国鉄阿佐線の建設を促進するという名目のもとで、用地の売却によって赤字を解消するためのものであった。
そしてこの計画は頓挫した。1981年12月、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法により阿佐西線の建設は凍結された。徳島側の工事はこれに先立ち、同法が公布・施行された1980年12月27日に中断していた。凍結の時点で阿佐西線は全長のうち18.9キロメートル(約44パーセント)が完成していたが、建設途中の高架橋や盛土は長期間放置されたままとなり、その様子から土佐の「万里の長城」、あるいは土佐の「バベルの塔」とも呼ばれた。甲浦・室戸・奈半利の間の中間区間は、現在に至るまで未成線のまま残されており、その区間は路線バスが連絡している。
救済は第三セクター方式によってもたらされた。1986年2月、高知県と阿佐・宿毛両線の沿線首長による会議で、両線を一本化した第三セクター鉄道会社の設立が合意された。同年5月8日、高知県を主体として、放棄された両線の建設を引き継ぐために土佐くろしお鉄道株式会社が設立された。同社は1988年1月に後免 - 奈半利間の第一種鉄道事業免許を取得し、同年3月に工事が再開された。ただし同社は当面、宿毛線の建設と中村線の維持に力を注いだため、阿佐西線の建設は後回しとされた。徳島側では、別会社の阿佐海岸鉄道が1992年3月26日に海部 - 甲浦間(8.5キロメートル)を阿佐東線として開業させた。
後免 - 奈半利間がようやく開業したのは2002年7月1日のことで、最初の着工から約37年、安芸線の廃止からは28年が経っていた。これは、公団がAB線(地方開発線及び地方幹線)に位置づけた路線としては、建設が中止された路線を除けば最後の開業であり、2023年時点では、仙石東北ラインを除けば日本で最後に開業した非電化の鉄道路線でもある。路線ではステンレス車体の9640形気動車が使用されており(「9640」は社名にある「くろしお」と読める)、開業に際して新造された車両には、鯨をモチーフにした丸みのある前面を持つオープンデッキ車両2両も含まれていた。
各駅には、高知県出身の漫画家やなせたかしがデザインしたイメージキャラクターが設定されている。キャラクターは駅のオブジェ、車両のマーキング、キャラクターグッズなどの形で用いられており、2004年には沿線の市民グループが着ぐるみを製作し、「ゴトゴト着ぐるみ隊」として各種イベントに出演している。キャラクターは後免駅の駅員「ごめん えきお君」から奈半利駅の「なは りこちゃん」にまで及ぶ。やなせの死後、2021年3月に開業したあき総合病院前駅のキャラクター「あき ナースちゃん」は、やなせスタジオがデザインした。
この路線の駅
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年表
- 19224月11日:牟岐 - 後免間が、「四国循環鉄道構想」のもと、改正鉄道敷設法別表第107号の予定線に編入される。
- 19574月3日:阿佐線が調査線となる。
- 195911月9日:牟岐 - 後免間が工事線に昇格する。
- 19644月22日:日本鉄道建設公団の工事線となる。
- 19654月10日:高知側(阿佐西線)の起工式が行われる。
- 197310月1日:牟岐 - 海部間(11.6km)が国鉄牟岐線として開業する。
- 19743月末:土佐電気鉄道安芸線(後免町 - 安芸間、1930年全通)が廃止される。4月:後免 - 安芸間が着工され、高架橋などの工事が始まる。
- 198112月:日本国有鉄道経営再建促進特別措置法により阿佐西線の建設が凍結される。この時点で18.9km(約44%)が完成していた。
- 19865月8日:放棄された阿佐線・宿毛線の建設を引き継ぐため、高知県を主体に土佐くろしお鉄道が設立される。
- 19881月28日:土佐くろしお鉄道が後免 - 奈半利間の第一種鉄道事業免許を取得する。3月23日:工事が再開される。
- 19923月26日:徳島側で、阿佐海岸鉄道が海部 - 甲浦間(8.5km)を阿佐東線として開業する。
- 200112月6日:後免 - 奈半利間のレール敷設が完了する。
- 20027月1日:後免 - 奈半利間(42.7km)が土佐くろしお鉄道阿佐線(ごめん・なはり線)として開業する。建設中止路線を除けば、公団のAB線として最後の開業となった。
- 20063月1日:全駅で駅番号の表示を開始する。
- 20213月13日:球場前 - 安芸間にあき総合病院前駅(GN27-1)が開業する。やなせたかしの死後、その駅キャラクター「あき ナースちゃん」はやなせスタジオがデザインした。